「絵画芸術」
d0165723_21334146.jpgこの3連休も引きこもり生活。
なんたって今月はNHKがイタリア月間とか言っちゃって、毎日イタリア関連の番組を放送するものだから、今まで録画したものを消化しないと容量が無くなる~~~という状況で。(^^;
見ずに消す、というのは避けたいので、頑張ってテレビを見る日々です。

そんな中、とても心に残った放送があったので備忘録としてアップ。

11/6の「美の巨人たち」(テレビ東京)でフェルメールの「絵画芸術」を取り上げていました。
フェルメール、彼は寡作の上、彼が己のことについて何も書き残していないので詳細が分からない謎の画家です。

私が彼の絵を初めて知ったのは、美術の教科書に載っていた「牛乳を注ぐ女」だと思います。
日常の何気ない一こまを切り取った静謐な絵。
絵画であるのに、注がれている牛乳の音が聞こえてきそうなくらいの写実性。
彼の絵は、風俗画であるにも関わらず、まるで教会の中のような静謐な空間が描かれており、絵の前に立つとその絵と自分は繋がっているような感覚に陥り、緊張する。
多分、絵に描かれているものが最小限に抑えられ、それゆえ主題に意識が集中するからなのだと思います。







が、しかし、そんな絵とは異なった趣なのが「絵画芸術」。
この絵には様々なものが描かれ、アレゴリーに溢れています。
シンプルなタイトルそのままの絵を描くフェルメールですが、「信仰の寓意」などアレゴリーに溢れた絵も描いています。
それらの絵を見ると、彼は何か後世に伝えたいメッセージを強く持っていたのだろうと感じるのです。

しかし、アレゴリーの解釈は難しい。
私は語れるほど詳しくはないし、かといってひとつの解釈を鵜呑みにして絵を見たくない・・・
でも、この日、「美の巨人たち」で語られた解釈は、すとんと心に落ちてきました。
「本当にそうだったでは?」と心から思った解釈。

それは、フェルメールは「この絵こそが芸術である」と風俗画の優位性を示すために描いたたのだ、というもの。

当時、知識や教養が必要な歴史画が一流の絵画とされ、フェルメールが描く風俗画は二流の絵とされていました。
フェルメールは初期には宗教画を描いていましたが、11人の子供を養うためか、当時流行していた風俗画を描くようになりました。
オランダ独立以前の古地図やハプスブルク家を象徴するシャンデリア、そして月桂樹の冠と本を持つ女=歴史の女神クリオを描いて歴史を象徴し、また彫刻の象徴である石膏像を無造作に置くことで絵画の優位性を示す。
そしてそれらを当時の日常の一こまに詰め込み、風俗画として描く。
勝利と栄光の象徴である月桂樹の冠、そして名声の象徴であるラッパによって、風俗画であるこの絵こそが芸術なのだ、とフェルメールは後世に伝えたかったのだ、と「美の巨人たち」は締めくくりました。

私はこの解釈から、彼が死後、世間から忘れ去られてしまうだろうと予期してこの絵を描いたのではないかと思えてしまい、とても切なく感じました。
「17世紀のデルフトに、フェルメールという歴史画を超える風俗画を描いた画家がいたのだ」と言いたかったのではないか。
「私を忘れないで」と、生涯デルフトから出ることのなかった画家の悲痛な叫びがこの絵に込められているように思えたのです。
自分の存在意義を示すアレゴリーで溢れた「絵画芸術」、フェルメールはどれだけ生活が苦しくてもこの絵は手放さず、生涯手元に置いたそうです。

ウィーン美術史美術館に収蔵されているこの絵、いつか本物と見ることができるでしょうか。
本物でしかわからない、フェルメール独特の光の粒をぜひ見てみたいです。

*画像は、メトロポリタン美術館所蔵の「窓辺で水差しを持つ女」。ウルトラマリン・ブルーがとても美しい絵でした。
by ruki_fevrier | 2011-01-09 21:23 | 日々 | Trackback | Comments(2)
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Commented by toramutti at 2011-01-09 23:16
フェルメールは大好きです。こちらでもなかなか観る機会がなく。。。3月20日まで、Holbeinの展覧会が州首都であるので、友人と絶対!と昨日、話しました。
Commented by ruki_fevrier at 2011-01-10 23:01
toramuttiさん

フェルメール、いいですよね~。
あの小さな画面に凝縮された静謐な世界と、鮮やかなブルー。
絵画芸術見たさに、ウィーンにいつか行きたいと思うようになりました。

ホルバインですか~。ヘンリー8世の肖像画とかしか浮かびませんが。
そういえば、ドイツからお嫁に行ったアン・オブ・グレーブの肖像画を描いたのは彼ですよね~
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