森と芸術@東京都庭園美術館
d0165723_23103285.jpg


昨日、みーちゃんと別れた後、東京駅南口から都バスに乗って向かったのは東京都庭園美術館
7/3まで開催の「森と芸術」展。
レンブラント、写楽、そしてこの「森と芸術」展が、今月どうしても見たかった展覧会です。

人間の森への郷愁を、絵画、器、写真、絵本等で辿ります。
フランス文学者巌谷國士氏監修です。
巌谷氏と言えば、渋澤龍彦ですよねー。
まともに読んだのは数冊だけど、彼の妖しい世界には子供のころから惹かれていました。


人は昔から「楽園」に憧れ、それを森に投影してきた。
第1章「森とは何か―楽園としての森」は、そんな楽園信仰の絵画が油彩画だけでなく挿絵なども一緒に展示されています。
「楽園の絵」で私がまず思い浮かべるのは、アンリ・ルソーのジャングル。
うふふ。ありました。以前、箱根のポーラ美術館で見たアンリ・ルソーの「エデンの園のエヴァ」。
月夜のジャングルに浮かぶエヴァの裸体。月光を浴びて浮かび上がる植物の輪郭。
あぁ、ルソー、好きだわ~。






d0165723_041462.jpg



第2章は「神話と伝説の森」。
森は神話と伝説の舞台。そこでは神々や妖精たちが、人とは別の次元を生きているのです。
アンリ・ファンタン‐ラトゥールの「二人のオンディーヌ」は森の暗闇に溶けて行く白い裸体が幻想的でした。

第3章、「風景画のなかの森」では、またルーベンス原画の版画に出会いました。
「霞網のある風景」は「月明りの風景」と同じく、静謐な風景が広がっています。
むむ、ルーベンスっていいかもと思ってきた。

第4章は「アールヌーヴォーと象徴の森」。
ここでモロー原画の「恋するライオン」という版画に出会う。
あぁ、モローってモノクロになってもまるで色が見えるかのような装飾・・・幻想的な絵にうっとりです。
町田市立国際版画美術館所蔵だそうです。モローを見に町田まで行こうかしら。

4章中程では、ガレやドーム兄弟のガラスの器が並んでいました。
アルーヌーヴォーのガラス器に施された、デフォルメされた植物を見ていると、「あぁ、蘭てこんな花だったっけ」と再認識したり、地味なサフランがとても繊細で美しい花のように思えてくるから不思議です。

4章最後には、ナビ派のセリュジェとドニの絵が。全く知識の無かったナビ派。
気付けばこの1年で結構な数を見てきました。
トップのちらしの絵は、セリュジェの「ブルゴーニュのアンヌ女公への礼賛」。
まるで中世のタペストリーのような絵です。この絵が飾られている部屋は元食堂で、壁の装飾とこの絵がとても似合っていました。

第5章は庭園と「聖なる庭」。ヴェルサイユの庭も印象的でしたが、川田喜久治さんが撮った怪物公園の写真がとても迫力ありました。
写真を見るまで知らなかったイタリアの怪物公園。
まだ同じような姿であるのだろうか。異形の石彫と自然が絡む森。一度見てみたいと思いました。

第6章は「絵本とメルヘンの森」。
なんだかすごく懐かしい絵が沢山ありました。
そうそう、おとぎ話、昔話の舞台も森でした。いばら姫、白雪姫、ラプンツェル・・・どれも森に関わる話ばかり。
装飾的なカイ・ニールセン、幻想的なエドモン・デュラック、、、他に人がいなければ、ずっと見ていたい絵ばかり。
アーサー・ラッカムの真夏の夜の夢の挿絵はすごく素敵だった!!あの絵本、欲しい~。
英語の勉強、こんな素敵な絵本でだったらはかどるかも。

第7章「シュルレアリスムの森」。私の最も苦手な分野、現代美術。
でも先日見た西洋美術館常設展のお陰でひとり名前を覚えてました。
マックス・エルンスト。現代美術コーナーで一番気に入った彼の描く黒い森と太陽。
ここでも見ることが出来ました。
黒い森と言えば、ドイツのシュヴァルツバルト。真っ黒い森と、それとは対照的に光を放つ太陽。コントラストがすごい。
彼の絵の前に立つと、なんだか動けなくなるんですよね~。

面白いなぁと思ったのが、カール・ブロスフェルトという人の植物の写真。
これが超マクロで撮ってて、ある植物の「部分」だけなのだけど、それがすごく装飾的で美しい形なのです。
この写真集のタイトルが『芸術の原型』。分かる気がします。
こういう視点で花を見たら、また面白いかもと思いました。

第8章は「日本列島の森」。
岡本太郎さんが撮った原生林の写真などがありました。
太郎さん、写真も撮るのですね。知らなかった~。今度、青山の美術館に行ってみよう。


d0165723_043070.jpg


以上、今回の展覧会で印象に残ったものです。
そうそう、額縁はテオドール・ルソーの「森の中の猟犬」とカミーユ・コローの「サン‐ニコラス‐レ‐ザラスの川辺」のものが繊細で素敵でした。
透かしが3Dで美しいのです。19世紀だから?額縁の世界も奥が深い。

この展覧会、芸術の分野における人と森の歴史をとても分かりやすく解説してくれました。
人々が森を懐かしみ、憧れの楽園を投影して様々な芸術を残してきたのは、神話や伝説が生きていた古代のような森との関係性は、憧れはすれどもう築けないという思いからではないかな、と展覧会を見て思ったのでした。

東京都庭園美術館、次はエルミタージュのガラス器。あぁ、これも行かなくちゃ。
by ruki_fevrier | 2011-06-13 23:10 | 日々 | Trackback | Comments(8)
トラックバックURL : http://rukidays.exblog.jp/tb/13773720
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by boosuka1220 at 2011-06-14 01:57
rukiさん こんばんは〜
「森と芸術」展、行こっかなー。。。どうすっかなー。。。
と思っていたのですが、
rukiさんの文を読んで「ヤバす!これは絶対行かねば!」
イタリアの怪物公園、子供の頃何かで見てガッツリトラウマに。(でも見たい)
アーサー・ラッカムも大好きです〜。頑張って行かねば!
(写楽は見逃しました〜。。泣)
Commented by ruki_fevrier at 2011-06-14 23:16
ブースカさん

こんばんは!
これ、絶対絶対行った方がいいですよ!!
すっごく良かった。
見慣れたものも、違う視点で見ることもできたし。
いろんな刺激を受けましたよ~。
それにね、出展作品ほとんどが国内の美術館所蔵なの。
「ここに行けばまた会える」とか、「こんなに素敵なものが沢山日本にあるんだ~」と思いましたよー。
アーサー・ラッカム、いいよね~~~。絵本展、どこかでやらないかな。

えーっ!!写楽、見逃したの!?
チケット、並べていたのに・・・ご愁傷様です。
Commented by uransuzu at 2011-06-15 10:22
先日の上京の際に、ホテルからも近いし、時間あったら行ってみたい!
と、思ってたのですよ~
でも、結局、仕事がぎっしりで行けず・・・(泣)
rukiさまの記事読んで、行ったつもりになりました。ありがとうございます。
Commented by ruki_fevrier at 2011-06-16 00:16
uransuzuさん

そうですね~あそこからだったらタクシーで行ってもさほどかかりませんね。
お仕事、詰まってたんですね・・・本当にお疲れ様です。
あー、それにしても、返す返すも残念!
実は「東京に行きます」記事を見た時に、「お時間あったらぜひランチでも!」と
コメントしようと思っててしそびれちゃったのです~
ランチは無理でも、お茶くらい出来たかも・・・と思ってしまう私です。
あのパン屋さん、私も買いました~♪
先週はパンドミーにしたので、今週はブラウニーにしました~♪

「森と芸術」はカタログ代わりの本がネットでも買えますよ!
面白いので、ぜひチェックしてみてください~
Commented by masoraly at 2011-06-17 00:09
rukiさん、こんばんは~。
素敵な美術展ですねー。あの建物がバックだと、さらに素敵でしょうねぇ。
森と芸術なんて、今、一番興味あるかも。学芸員さんセンスありますね。
私は、一人で想像をめぐらせることに致しましょう。
主人は、あいかわらず東京出張が多いのですが、全然ついて行こうと
思わないんです。できるだけお家にいたいと思うこの頃です。

↓ こちらがrukiさんちのアジサイですね。きれいですね~。
アジサイいいですよね~。
どんな風にお庭のレイアウトがなされてるのだろう・・・ちょっとナゾですわ。
そうそう、カミキリ虫、多いのですね。もうそんな季節なんでしょうか。
Commented by ruki_fevrier at 2011-06-18 12:41
masoralyさん

こんにちは!
森と芸術、いいテーマですよね。
美術史の流れに沿って、森の描かれ方の変遷を辿れるという面白い展示でした。
これ、カタログ代わりの本がamazonで買えますよ。
ぜひチェックしてみてください!!
あはは。そういう時もありますよ。私も家から出たくなーいと思う時もありました。
周りから「大丈夫?信じられない」と驚かれました。
今は整体に通っているため強制的に休日に都内に出るようになり、
ついでに美術展のパターンになってます。

紫陽花、大好きです!ホントはもっと植えたい!
あはは、謎ですか。狭いところに色々植えてます。(^^;
植物がちょっと可哀そうかな~。
にっくきカミキリムシ、今日も1匹昇天させました!
ヘリテイジの大事な茎がぽっきりやられて大ショック。蕾が3つもついてたのに~。
これからは虫と雑草との戦いですね。
Commented by aoi at 2012-06-25 22:46 x
Max Ernstの黒い森に関する情報を集めてて、このHPにたどり着きました。
2011年あたりに黒い森を見かけて、どこで見たのか、どこ所蔵だったか探しておりました。
たぶん、庭園美術館だったのかもしれません。。

なにか黒い森に関してご存知でしたら教えていただけないでしょうか。
何卒宜しくお願いします。
Commented by ruki_fevrier at 2012-06-25 22:52
aoiさん

コメントありがとうございます。
オリジナルは、メールアドレスが書かれていたので、一旦削除させていただきました。
どうぞご了承くださいね。

ところで、マックス・エルンストの黒い森でこのブログに辿りついたとは!
私が彼の絵を知って、まだ1年。しかも数回しか見ていないのです。
なので何もお話しできることは無いのですが、この時の展覧会で展示されていた絵が
図録にありましたので、その情報だけここに書きますね。

「森」 1927年 岡崎市美術館所蔵
「灰色の森」 1927年 国立国際美術館所蔵

この2枚の油彩画が出ていました。国内にあるので、また見れるかもしれませんね。
西洋美術館の「石化した森」も素敵ですよ。もし、まだご覧になっていなければ、ぜひ。


<< 感謝 紫陽花の季節 >>