ワシントン・ナショナル・ギャラリー展@新国立美術館
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新国立美術館で9/5まで開催の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」。
最初はあまり行く気が無かったのですが、BS日テレの「ぶらぶら美術博物館」の山田五郎の解説を聞いたら、俄然行く気になりました。(笑)
それと、仮に今後アメリカに行くとしても、ワシントンにわざわざ行く可能性はほとんど無いのではないか、と思ったら「見ておかないと!」と思ったのです。

いつものごとく、金曜の夜間開館へ。
雨だったこともあり、思ったより人が少なかったです。
構成は4章で、「印象派登場まで」「印象派」「紙の上の印象派」「ポスト印象派以降」。
印象派前後の流れがよく分かる、非常にシンプルな構成でした。






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入口を入って正面にクールベの「ルー川の洞窟」、左手の壁の1枚目はコローの「うなぎを獲る人々」。
印象派のカラフルな絵を浮かべてルンルンしながら入ったのに、画壇の反逆児クールベの暗い洞窟の絵がいきなり現れてちょっと驚きます。
でも、これがものすごく惹きつけられる絵なのです。
絵の中央に向かって続く洞窟は暗く、画面の半分が黒い色なのですが、奥まで続く川面の、水の透明感に心を持って行かれます。
「現実を見よ」と言ったクールベの絵と、コローの緑豊かな森でのひとときを描いた絵。
そして「屋外で描け」と言ったブーダンの作品。
続いてマネの作品がどどーんと5枚。
マネの「オペラ座の仮面舞踏会」「鉄道」「牡蠣」、ファンタン・ラトゥールの「皿の上の3つの桃」、バジールの「若い女性と牡丹」。
18世紀から画壇を支配してきた新古典主義とは明らかに違う、革新的な絵・・・
そして「印象派」の部屋へと続きます。



今回、楽しみにしていた絵のひとつは、モネの「日傘の女性、モネ夫人と息子」。
日傘の女性を描いたものは3つありますが、私はこの一番最初に描かれた絵が好きです。
それと、同じくモネの「ヴィトゥイユの画家の庭」。
この絵の額絵をずーっと昔に買って、長いこと部屋に飾っていました。
いつ、どこで買ったか全く記憶に無いし、しかも実物を見たので買ったのかも覚えていなくて。
なので、光とひまわりに溢れたこの絵の実物が見れることがとても楽しみでした。そしたら意外に大きくてびっくり。
鮮やかな色彩、乱れ咲く花々、青い空、見ているだけで幸せになれる絵です。モネ、やっぱり好きだわ~
隣に展示された「太鼓橋」も素晴らしかったし、珍しいルノワールの風景画や代表作の「踊り子」、ブルーが美しい「アンリオ夫人」などなど・・・
印象派好きにはたまらない絵が並んでいます。


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「紙の上の印象派」では、素描や水彩、版画などが並びます。
私が一番好きなのは、メアリー・カサットの版画「浴女」。
浮世絵に影響を受けて作成されたと言う10枚の連作のうち2作品が展示されていました。
女性の体を描く柔らかな線、スカートの直線的な柄と対比するようなカーペットと水差しの柄。
見た瞬間、浮世絵だ!と思いました。
題材は西洋的なのに懐かしい感じがして惹きつけられます。

ゴーギャンの版画もあり、黒と白だけで描かれた彼独特の南国の絵はとても神秘的で、これで絵本を作ったら楽しいだろうなぁと思いました。
実際、彼が出版しようとした本の挿絵として作られたものだそうです。
でもその本は結局出版されずに終わりました。残念・・・

最後の「ポスト印象派以降」では、セザンヌの絵がこれまたどどーんと並んでいます。
しかもどれも大きい。セザンヌの大作を、これだけ一度に見たのは初めてです。
セザンヌがなぜ「近代絵画の父」と言われるのか、少し分かった気がします。
彼の絵の圧倒的なパワーの前には、ホントの色とか遠近法とかどうでもよくなっちゃうんですよね。

現実を描く「印象派登場まで」、見たままに描く「印象派」、そして現実を主観で描く「ポスト印象派以降」。
この一連の流れがすごくよく分かる展覧会でした。
子供のころに見過ぎたせいか、苦手だった印象派ですが、少し見方が変わりました。
私、印象派を誤解していたかも。
どの絵も、それぞれの画家が一生をかけて真剣に絵を追及したものの結果であり、その全てから「生」のパワーを感じる。それがこの時代の絵の魅力なんだなぁ。


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最後はゴッホの「薔薇」。
私が一番見たかった絵です。
ひまわりが有名なゴッホですが、私は彼の薔薇がとても好きです。
国立西洋美術館にも1枚、野に咲く薔薇を描いた絵があります。
この薔薇は彼が自ら命を絶つ数か月前に描かれました。
この絵を描いた時の彼の精神状態はとても安定していて、自信に溢れていたそうです。
確かに、薔薇は馥郁と咲き誇り、蕾を次々と開花させていくさまは溢れだす生命力のようです。
でも、なぜか私は物悲しさも感じるのです。背景が緑で薔薇が白いせいかもしれませんが。
ゴッホが自身の葬送のためにこの薔薇を描いたように思えてしまい、絵の前で思わず泣いてしまった私です。


以上、長々と書いてしまいましたが、とにかく質量ともに「すごい」の一言に尽きる展覧会でした。
印象派好きの父には「絶対行くべき」と勧めています。
改修工事中のためにこの規模の貸し出しが可能だったとか。なので今後日本で一度にこれだけの作品が見れることはもう無いと思います。
残り2週間ありますので、ご興味ある方は絶対に行った方がいいですよ!


余談ですが、、、山田五郎の知識の豊富さにいつも驚かされる私ですが、彼の若かりし頃の画像にはもっと驚かされました!
誰これっ!?
meshiさんのツイートで知りました~。meshiさん、素敵な情報ありがとう~♪
by ruki_fevrier | 2011-08-21 17:33 | | Trackback | Comments(7)
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Commented by boosuka1220 at 2011-08-21 20:06
rukiさん こんばんはー。
BS日テレの「ぶらぶら美術博物館」!
こんな面白そうな番組があるなんて〜。知らなかったです。
しかも「おぎやはぎ」!相当面白そう!
やっぱりいいなー、BS。ボロ我が家にはアンテナが来てない。。。
(あのアンテナ買うのかー。。。うーん。。)
山田五郎さんがイケメンだったと言う事は
ウワサで聞いておりましたが、ここまでとは。。。
髪の毛も。。。ウケる。。。
印象派、実は嫌いだったのですがrukiさんの記事を拝見したら
「もしかして見方が変わるのかな?」と。
来週代休とって行ってこようかと思いますー♪
Commented by ruki_fevrier at 2011-08-21 21:11
ブースカさん

こんばんは!そーなのー、「ぶらぶら」とっても面白い番組です。
おぎやはぎ、面白いよ~。なんたって、ルーベンスを知らなかったんだから!
そんな彼らが山田五郎のレクチャーを受け続けて、絵画の見方を学んでいくのよ。すごく面白い。

山田五郎イケメン説ってうわさがあったんだ~。全然知らなかった・・・
あの顔にあの知識、しかも雑誌編集長だからモテただろうね~。
でも喋りは昔からああなのかな。あの顔であの喋りは笑えるかも。

そう!私も印象派苦手だったの。
なんたってルネサンス大好き、新古典主義万歳、クールベの「泉」より
断然アングルの「泉」でしょう!っていう人なので・・・
でも、なんていうか、歴史的な背景とか含めてちゃんと見るようになったら、
段々見方が変わってきました。
展示の仕方もとてもいいし、ライティングもとても見やすくされていて、
作品だけでなく展覧会としても質の高いものだと思います。
この分野に興味があったらぜーーーったいお勧めです。ぜひ!
Commented by masoraly at 2011-08-22 15:12
rukiさん、こんにちは~。
おしゃべりしたいこといっぱいあるのに、なかなかコメントできないです。
「世界遺産 1万年の叙事詩」興味深かったですねー。
華恵さんが、うらやましくてたまらなかったわ。19・20歳で、こんな経験ができるなんて。
二人のコメントが的確ですよね。こんな授業受けたかった・・・
前にびっくりするよって言ってたのは、6章かな「アフリカ」です。
文字数オーバーのようなので、二つに分けます。↓
Commented by masoraly at 2011-08-22 15:12
ワシントンナショナルギャラリー展、随分前にも東京に来ていて、じっくり観たので、よく覚えてます。
今回は、より知られてない絵画が来日してるらしいですね。京都に巡回するようなので、観に行きたいです。
その前回の時に、一番惹かれたのが、モネの「ヴィトゥイユの画家の家」です。お家に持って帰りたかった(笑)。
モネって日本人大好きですが、アメリカ人はモネ派ができたくらい影響受けたみたいです。
私は自然に印象派好きになりましたが、ワカモノの頃、印象派嫌いという友人に出会って、カルチャーショックを受けたことがあります。
ゴッホの薔薇の絵、素敵ですね。私はアーモンドの花の絵が好きですが、ひまわりやアイリスとは、対照的ですよね。
短い生涯だけど、晩年は静かな平安もあったんだなと思うと救われます。
洋画界のセザンヌ信仰は強いです。私には、よくわからないけど。
山田五郎さん、えーーーっっっ、のけぞりました。
「ぶらぶら美術博物館」見てみようかな。この方が出ると、番組がおもしろくなりますよね。
私は朝早いけど、「額縁をくぐって物語の中へ」が再び始まって喜んでます。
Commented by ruki_fevrier at 2011-08-23 01:25
masoralyさん

こんばんは~
私も色々コメントしたいと思いつつ、読み逃げしております。すみません!
「世界遺産・・・」、私、まだ全部見てないんです!!(汗)
華恵さん、本当にうらやましいですよね~。でも彼女のコメントが好きなので、許す!(笑)
6章アフリカですか!楽しみです。

ワシントン・ナショナル・ギャラリー展って以前もあったんですね。
もしかしたら、私は行ったのかもしれません。
でも印象派苦手なので、あまり記憶に無かったのかも・・・
印象派好きでしたら、絶対見た方がいいですよ!
うちの両親は早速今日行ってました。早っ。
ゴッホって本当に数年くらしか絵を描いていないですね。
彼の絵はどれもドラスティックで、でも切なくて好きです。
セザンヌは、、、私も何がいいのか全く理解できなかったのですが、今回で少しだけ、本当に少しだけ感じるものがありました。
これからもう少し勉強します。

山田五郎ネタ、のけぞってくださって嬉しいです!
書いた甲斐がありました!!
「ぶらぶら」面白いですよ~ぜひぜひ。
「額縁・・・」私も大好きです。ばっちり録画予約しております~。
本当にmasoralyさんとはテレビ番組がかぶってますね!
Commented by desire_san at 2011-09-05 16:12
こんにちは。
私も、国立新美術館の「ワシントン。ナショナル・ギャラリー」の美術展が行ましたので、興味深く記事を読ませていただきました。

私とは違った観点のご感想もあり、勉強になりました。

私もワシントン。ナショナル・ギャラリー展の感想と美術展で紹介された画家の作品について書いてみました。ぜひ読んでみてください。

どんなことでも結構ですから、ブログにコメントなどをいただけると感謝致します。

Commented by ruki_fevrier at 2011-09-05 22:38
desire_sanさん

コメントありがとうございます。
私にとっては、初めてまともに印象派と対峙出来た展覧会でした。
すごく良かったですよね~。

絵を見る視点は本当に人それぞれですね。
他の方の感想を読んだりすると、「そういう視点もあるんだなぁ」と新鮮に感じだりします。
desireさんの記事、後で拝読させていただきます。


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