オランダ旅:ファン・ゴッホ美術館
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月曜日、友は用事があるため、ひとりでトラムの旅。
前日にレクチャーされた通り、VAN BAERLESTRAAT駅で降りて、まずはファン・ゴッホ美術館へ。

27歳で画家を志し、37歳で自ら命を断つまで10年間で描いた絵は、油彩だけでおよそ800点。
そんな彼の画家人生を、オランダ、パリ、アルル、サン・レミ、オーヴェル・シュル・オワーズの5つの時代に分けて作品が展示されています。

ゴッホがニュネンという小さな村でほぼ独学で絵を勉強していた時の代表作が、この「馬鈴薯を食べる人々」(1885)。
ゴッホはミレーに傾倒していて、彼の絵をひたすら模写したそうです。

「この絵は、手の労働を語っているのだ」

結構大きな絵です。暗い色調ですが、描かれている農民の尊厳を感じる絵でした。
この絵のために何度も手のスケッチをしたというゴッホ。
ニュネン時代の彼の絵は、あまり上手では無いけど必死に絵を勉強しているひたむきさが伝わってくる絵ばかりです。







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1886年、画商をしていた弟を頼ってパリに出たゴッホ。そこで印象派やポスト印象派に出会います。
特にスーラの点描に魅せられたようです。
でも、点では無く、もう少し長めの線で描く独特のタッチの絵「マルメロ、レモン、梨、葡萄」(1887)。
ゴッホらしい絵が表れてきます。
私はこの絵の色が大好き!
黄色の濃淡に溶けてしまいそうなフルーツ。ゴッホの目には、こんな風に見えたんだなぁと感動。


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パリでは浮世絵にも出会い、400枚以上の浮世絵を収集していたとか。
そんな浮世絵を油彩で模写した絵も多く描きました。
これは広重の「亀戸梅屋舗」を模写したもの、「花咲く梅の木」(1887)。すっごいインパクトです。
というか、もともと広重の絵が大胆な構図なのですが、そこにゴッホの色彩のインパクトが加わって強烈な印象を残します。
両脇の文字は広重の絵にはありません。ゴッホ独自のデザインです。
しかし、なんて書いてるか、分かってたのかしら???
ゴッホが模写した浮世絵は、そっくりだけどやっぱりゴッホ、という感じでどれも見てて楽しかった。


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パリでがらりと色彩が変わったゴッホ。
しかし、どうやらパリでの生活に疲れたようで、1888年に南仏アルルに引っ越します。
アルルに住み始めた頃に描いた「グラスの中のアーモンドの花」(1888)。
この絵がすごく好きです。
新しい生活への期待で満ちている気がして。
膨らむ蕾が、ゴッホの気持ちのように見えてくるのです。


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そしてたった2ヶ月で衝撃的な終わり方を迎えるゴーギャンとの共同生活。
オーディオガイドで、この「ひまわり」はゴーギャンの部屋を飾るためにゴッホが描いた、と聞いて切なくなりました。
彼のために絵を描いて待ちわびるほど、ゴーギャンのこと、すごく好きだったのに・・・


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耳切り事件の後、ゴッホはサン・レミの療養院に自ら入ります。
不安定な精神状態を表すかのような絵「セント・ポール病院の庭」(1889)。
確かに夕暮れ時の空って紫色に色づく時があるけれど、こんなに心がザワザワする空だっけ?
色と言うより、ゴッホの激しいタッチが不安な気持ちにさせるのかもしれません。


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そして亡くなる1890年、療養所を出て、パリ近郊のオーヴェル・シュル・オワーズに移り住んだゴッホ。
彼が亡くなる月と同じ7月に描かれた作品の中の1枚、「カラスの群れ飛ぶ麦畑」(1890)。
この絵の前では、しばらく動けなくなりました。
これ、幅1メートルくらいの絵なのですが、嵐を予感させるような暗い空、激しく穂を揺らす麦、行きどまりに見えそうな3本の道。
自然が自分に迫ってくるような、そんな感じを受けます。
不安にさせるけど惹きつけられる、「星月夜」を見た時と同じ感覚です。
心が落ち着かなくさせられるんだけど、好き。
というか、もともとゴッホの絵を見ると心がザワザワするんですよね。でも魅了される。不思議な魅力があります。

ゴッホは、自分が弟テオの負担になっているのではないかと悩んでいたようです。
そして自らの命を断つ・・・でもその半年後に弟も亡くなってしまうんですよね。
ゴッホは弟に悪い、と思っていたかもしれませんが、弟はきっとお兄さんが大好きだったんだろうと思います。


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ゴッホがサン・レミで、甥っ子の誕生を祝って描いた「アーモンドの花咲く枝」(1890)。
幻覚や幻聴に悩まされながらもこんな美しい花の絵を描いたゴッホ。
ゴッホの描く花の絵が大好きななので、このアーモンドの絵もすごくすごく好きになりました。
この絵の傘とかTシャツ買っちゃおうかと思うくらい・・・(笑)

オーディオ・ガイドで聞いた、「僕には時間がない。次に大きな発作が起きたら、もう絵を描けないかもしれないのだから」
というゴッホの言葉がとても印象に残っています。
切ない・・・


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上の方の階では、同時代の画家の絵が見れます。
ゴーギャンが描いたゴッホもあります。二人の関係が見えるような絵でした。

そんな中出会った、ルドンの「仏陀」(1904)。
まるで菩提樹の幹に溶け込んでいるような修行する仏陀。
その周りは彼を祝福するかのようにカラフルな花で彩られ、まさに百花繚乱。
ルドンの絵のお陰で、少し切ない気分が紛れました。

実は、あまり期待していなかったファン・ゴッホ美術館。
でも彼の画家人生を絵画で辿ることが出来て、とてもよかったです。
日本語のオーディオ・ガイドもあったので、より理解が深まりました。
で、気に入った絵をアップしてたらこんな枚数に・・・(^^;
またどこかでゴッホの絵が見れたら、「あぁ、これはあの時代の絵なんだなぁ」と思うと思います。

さて、次はアムステルダム国立博物館へ!

by ruki_fevrier | 2012-07-08 01:36 | | Trackback | Comments(8)
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Commented by xiangpian at 2012-07-08 03:06 x
ゴッホ美術館を訪れた日本人は、みなさん口ぐちに、ゴッホの初期の絵が結構よかった~と言います。 トップのジャガイモを食べる農夫たちの絵なんて、表情ひとつとっても、ごつごつしていて、のちにあの黄色いひまわりを描く人と同一人物? って思うよね~
浮世絵は、ゴッホだけでなく、あの頃の印象派の画家たちにやたらとウケたらしいですね。  構図が、すごく斬新に映ったらしいよ。
アーモンドの木に絵、というか、色、私も大好き。   扇子、買っちゃいました 笑      弟テオとの関係が、切ないね~
7月に入って、ゴッホ美術館は、長蛇の列よ!   ところで、ひまわりTシャツとか買わなくてよかったの?
Commented by ruki_fevrier at 2012-07-08 08:47
xiangpianさん

おはよ~
初期の絵は、びっくりするくらい写実的よね。
描く農夫たちの全てを写しとろうとしているようで・・・
ホント、ひまわりを描く人と同一人物!?って感じ。すごく良かったよ。

アーモンドの木の扇子!?えー?持ってるの???私も買おうかと思ったよ。
テオの子供が生まれてすごく喜んだらしいんだよね。
仲の良い兄弟だったんだね~

はあ・・・6月でも結構な列だったものね。そして中も沢山の人だったし。
ゴッホってこんなに人気なんだ、って驚いたもの。
欲しかったのはひまわりじゃなくてアーモンドのTシャツだよーん。
うぅ・・・次行ったらTシャツだけ買いに行こう。(笑)
Commented by yuki at 2012-07-09 15:31 x
私もゴッホ美術館に行きたいです。。。
日本に来た絵を見たり、出張先旅行先(海外)の美術館で見たり、書籍、画集を数冊持ってはいるけれど・・・、やっぱり、一度はこの美術館に行きたい・・・。

うう。。。うらやましいです。。。
Commented by ruki_fevrier at 2012-07-09 23:30
yukiちゃん

ゴッホが好きなんだ?
私は特別好きというわけでなく、ちょっと前まではどちらかと言うと苦手だったかな・・・
でも、こうやって何十枚もの絵画でひとりの画家の人生を知ると、どの人にも惹きつけられるね。
それだけどの画家も絵画と向き合って、人生と、時には命そのものをかけて描くんだね。
ここは常設回顧展という感じで、本当に行って良かったです。
yukiちゃんもいつか行けますように。
行く時は事前にチケット買うことをお勧めします。チケット買うだけで数十分は並ぶから。
Commented by yuki at 2012-07-10 11:01 x
最初は全く興味がなかったんだけど、いつのまにかゴッホ好きになっていました。。。いつかは行きたいゴッホ美術館・・・。

そうそう、rukiちゃん、リニューアルした都美術館に行かれました?
私は先日、真珠の耳飾りの少女と真珠の首飾りの少女を見てきました。平日に行ったのだけど、耳飾りの少女の方は・・・ものすごい行列でびっくり。。。。西洋美術館の方はがらがらでした。 もし両方行かれていたら、rukiちゃんの感想等、是非お伺いしたいなーと思って。。。rukiちゃんの美術レポもいつも楽しみにしているのよー。

夏期休暇を取得して、のんびりと西洋美術館の常設展、ブリヂストン美術館に行く予定。。。です。


Commented by ruki_fevrier at 2012-07-11 01:49
yukiちゃん

都美術館、先週金曜日に行ってきましたよ~!!
午後3時半頃だったけど、中に入るのに30分待ちでびっくりしました。
しかも最前列で見るにはさらに20分・・・私はフリーゾーンでゆっくり見ました。
ベルリンはちょっと前の土曜日に。
あっちは結構空いてましたね。首飾りもいい絵なんですけどね・・・
私の感想文美術レポを楽しみにと言ってくれてありがとう!!
すごく嬉しい・・・
近いうちにアップしようと思っているのですが、まずは国立美術館を書きたいのよね。

西美の常設、私も先日久しぶりにゆっくり見ました。
ちょっと展示が変わってて、マックス・エルンストの絵が見れなくて残念だったけど。
あそこを初めて見た時の感動ったら無かったわ。
15,6世紀の宗教絵画がこんな近くで見れるなんてー!って。

おぉー、ブリヂストンはドビュッシーでしょ?
今日、でっかいポスターが表参道駅に貼ってありました。
私も行きたいなぁ。
Commented by yuki at 2012-07-11 10:10 x
そうそう、西美、常設替わっていましたよね。私も西美の常設を見たときは、こんなに身近で、常設で、しかもお安く見ることができるなんてーと感激しました。なので、たまーにふらっと常設だけ見に行ったりしています。

ブリヂストンも好きで、ちょくちょく足を運びます。今回は、音楽とどう結びつけているのか、楽しみです♪
Commented by ruki_fevrier at 2012-07-11 11:37
yukiちゃん

常設のゴッホの絵、いいよね~
あとモネの水辺の柳。
それとロセッティ。
とにかく、常設だけでもめちゃくちゃ楽しいよね。
版画の企画展も面白いし。書籍コーナーも好きだし、レストランのオムライス大好物!
あ、お腹空いてきた…(笑)


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