ベルリン国立美術館展@国立西洋美術館
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6月下旬、国立西洋美術館で開催中の「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」展に行きました。

ベルリン国立美術館とありますが、これはベルリン市内の20近くある美術館・博物館の総称で、今回は絵画館、彫刻コレクション館、素描版画館から作品が出展されています。

構成は6章で、15-18世紀までの400年間をそれぞれの特徴で5章に分け、最後にルネサンス期の素描で1章となっています。
絵画だけでなく彫刻も数多く各章に展示されているのがこの展覧会の特徴だと思います。

目玉はチラシにも使われているフェルメール作の「真珠の首飾りの少女」(1662-1665年頃)。
同じく上野にある都美術館には「真珠の耳飾りの少女」が来ていて、上野はまるでフェルメール祭り。(笑)
第4章「17世紀 絵画の黄金時代」で展示されています。

比較的どの展示室も空いていましたが、この絵の前だけは人が集まっていました。
ふんわりとした柔らかい光の中で、黄色い服を着た少女がうっとりとした表情で首飾りのリボンを結んでいます。
絵の中の少女はきっと自分の首で輝く真珠に見惚れているのだろう。
美しいものを身に付けた時、女の子ならみんなこういう顔して鏡を覗いてるよね~。
見ているこちらもそういう時の幸せ気分を思い出し、自然と顔が緩んでしまう作品でした。
光の使い方、左側に集中して描く構図、フェルメールらしい細部まで計算された絵です。

彼は風俗画を描いているけれど、風俗そのものと言うよりはその瞬間の空気感のようなものを表現したかったのだろうなぁと思います。
そこがデ・ホーホとの違い。技術の差ではなく、個性の差だと思うのです。
(先日ちら見したフェルメール本に、デ・ホーホはフェルメールより技量的に劣っているのは明らか、みたいな記述があって、ちょっと悲しかった。)






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第1章「15世紀:宗教と日常生活」は大好きな15世紀の宗教画や聖母子像がたくさん。
中世の無表情で威厳たっぷりの聖母子と違い、普通の親子のように見えるルネサンスの聖母子。
神の威光を示すための宗教画から、人間の理想像を描く宗教画へ・・・

これはピントゥリッキオの「聖母子と聖ヒエロニムス」(1490年頃)。
聖母マリアの顔が穏やかで慈愛に満ちている。
聖ヒエロニムスなんて、いいおじいちゃん!って感じ。


第2章「15-16世紀:魅惑の肖像画」では、クラーナハ(父)の「マルティン・ルターの肖像」が強烈だった。
散々教科書で見てきたそのまま!(笑)
意外に優しい顔でした。こっちはいいおじちゃん!って感じ。

第3章「16世紀:マニエリスムの身体」
マニエリスムの画家として初めて覚えたのがクラーナハでした。
彼の描く裸体は、ぬめ~っとしててなんだか爬虫類っぽい。
展示されていた「ルクレティア」しかり。
マニエリスムの本当の意味を知るまで、こういうぬめっとした絵がマニエリスムだと誤解してました・・・(笑)
(ブロンツィーノの「愛の寓意」とかもぬめっとした感じだったし・・・)


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第4章「17:絵画の黄金期」は、フェルメール、レンブラント、ルーベンス、ベラスケス、、、と巨匠の作品がずらっ。
フェルメールもいいけど、それ以外もすごかった!

これはルーベンスの「難破する聖パウロのいる風景」(1605年頃)。
聖パウロはきっと手前右の暗い部分にいるはず、っていうくらい風景メインの絵。
画面左は嵐、右は虹が出ているという不思議な絵。
うーん、やっぱりルーベンスの風景画、好き・・・みたい。
人物画だとやり過ぎじゃん?と思うドラマティックさが、風景画だと許せる・・・(笑)


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レンブラントの「ミネルヴァ」(1631年頃)。
かなり暗い画面。その中でミネルヴァの白い肌と、緋色のマントの裾にあしらわれた金の装飾が浮かび上がっています。
はぁぁぁ、レンブラントだわ~とため息。
照明の当たり方でちょっと細部が見づらかったな。
レンブラント・プロジェクトでレンブラントの作品では無いと判定された「黄金の兜の男」も素晴らしかった。
兜部分の絵の具の盛り具合、すごい~。作者はとても優秀な弟子だったのだろうなと思う。


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ヤン・ダヴィッドゾーン・デ・ヘームの「果物、花、ワイングラスのある静物」(1651年)。
これは大きな絵でした。すごい迫力だった。
光を浴びる瑞々しい花や果物と、闇に沈む枯れた麦や鳥の死骸・・・
これぞヴァニタスな絵画。
この時代の静物画、大好き。腐ってる果物や虫とかがいて、最初はびっくりしたけども。
「世の中、美しいだけじゃないのよ」と絵が語っているようで・・・

第5章は「18世紀:啓蒙の近代へ」。
思想的な面から絵画の流れを捉えようという切り口は新鮮だった。でも、、、あまりインパクトは無かったような・・・


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第6章「魅惑のイタリア・ルネサンス素描」はすごかったです。
ミケランジェロにボッティチェリ、シニョレッリ・・・
素描をこんなに熱心に見たのは久しぶりかも。
どれも素晴らしい~!!画家のイマジネーションの生成過程を見ているようです。
ボッティチェリの「神曲」の挿絵の素描の第17歌と第31歌が展示されていました。
↑は第31歌。真ん中にダンテの理想、ベアトリーチェ、そして手前右、車輪近く、左の3美神の輪の中とダンテが描かれており、ストーリーが進んでいる。
ボッティチェリって線からして繊細だったのね・・・思わず絵の前でうっとりしました。
自画像見てもナイーブそうだし、最後サヴォナローラに心酔しちゃうし、ちょっとナヨ系男子だったのかも。
そしてミケランジェロの線は力強かった。

と、こんな感じで400年を絵画と彫刻で辿る展示会。
地味にいい絵、というかすごい絵が沢山あって楽しかったです。


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ランチの後は常設展へ。
いつもは企画展の点数が多すぎてぐったりなのですが、今回は点数が多すぎず、元気に巡ることが出来ました。
大好きなモネの「セーヌ河の朝」。
モネの緑のグラデーションにはいつも癒される・・・
いつも通り、ロセッティやモローの絵を楽しんで。
で最後にエルンストの森を見て終わるのですが、

 エルンストの「石化した森」が無かった!!

係の人に伺ったら、展示替えでお休み中とか・・・ショック。
まぁ、またいつか見れるでしょう。


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ランチは1階のカフェ「すいれん」でいつものオムライス。
この日はビール大好きな舎弟ユズと行ったので、彼が注文したドイツビールを少しいただきました。
明るいうちに飲むビール、美味しかった!
by ruki_fevrier | 2012-07-22 00:07 | | Trackback | Comments(4)
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Commented by YAsapi at 2012-07-22 15:13
先日の上京時に観に行こう…と思いましたが、
そういえば、九州国立博物館にやって来るのでは? と確認し、
こちらで観ることにしました。
でも、どちらが空いているのか、賭けのようなものですね。
福岡には、いい美術展がやって来ませんから失敗だったかも?
詳しい、ご解説もありがとうございます。
10月の開催を楽しみに待ってます!

Commented by ruki_fevrier at 2012-07-22 19:03
Asapi先生

そうそう、これは九州に巡回しますよね。
そちらで見た方が空いてるかも?どうでしょうか。
こちらにいるとスケジュールに追われるように展覧会通いをしていますが、
「大変~」と思えるほど色々見れるのは幸せなことなんだ、と気づきました。
やっぱり生で見るのと図録で見てるのでは全然違いますね~
今さらながら実感してます。
あぁ、今までかなり見逃してるなぁ・・・(笑)
Commented by desire_san at 2012-09-04 12:37
こんにちは。
私もベルリン美術館展に行ってきましたので、興味を持って読ませていただきました。
フェルメールの「真珠の首飾りの少女」は、人気の「真珠の耳飾りの少女」とはまた違った味わいがある作品でよかったと思いました。
「聖母子と聖ヒエロニムス」には魅了されました。
レンブラントの「ミネルヴァ」も素晴らしい作品だと思いました。

私もベルリン美術館展で好きになった作品について書いてみましたので、よろしかったらご一読ください。ご感想、ご意見などブログにコメントなどをいただけると感謝します。
Commented by ruki_fevrier at 2012-09-04 23:47
desireさん

こちらにもコメントくださってありがとうございます。
耳飾りに比べると地味な印象かもしれませんが、首飾りは描き方、構成ともに素晴らしいですよね。
マウリッツはオランダ絵画中心ですが、ベルリンはジャンルが多岐に渡っていて中身の濃い展覧会だと思います。
レンブラントも素晴らしかったですね~
desireさんがどんな感想を持たれたのか、とても興味あります~


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