今更ですが、都美術館で開催していたエル・グレコ展の感想をアップ。 今年はエル・グレコ、ルーベンス、ラファエロ、ダ・ヴィンチ・・・と巨匠展が次々と開催。 なんだかすごいなー。 日本にいながらにして、しかも日本語の解説で巨匠たちの絵が見れるなんて。 実は超苦手なエル・グレコ。 でも彼が生きた時代を考えると、ものすごく斬新な絵を描いていたのだなぁと、この展覧会で彼の画業を展観して思いました。 見たままを描くのではなく、人の内面や目には見えない何かも描き出そうとする彼の絵。 イタリアで学んだドラマティックな構図と色彩をトレドで見事に昇華させて行った過程がよく分かりました。 一番のお気に入りはイタリア時代の受胎告知なのですが、絵葉書が無かった。 大天使ガブリエルが宙に浮いてて、その浮遊感がとても好きなのですが。 ↑これは、1600年頃の作品。 緑の衣のガブリエルがクールにマリアに懐妊を告げ、それに対して赤い衣に青いマントのマリアが「マジで!?」と驚き、 天上から精霊を表す鳩がごぉぉぉぉっとマリアめがけて飛んでくる様子が描かれています。 うーん、なんてドラマティック。 「聖ラウレンティウスの前に現れる聖母」 ラウレンティウスはローマ時代に殉教した聖人で、熱した鉄格子で火炙りにされた人。 なので、アトリビュートに焼き網みたいなものを持っている。 自身の未来を予見しているのか、思いつめた瞳でしかし真っ直ぐに聖母子を見上げるラウレンティウス。 なんたって着ている衣装の描き方が素晴らしくて。触れてしまいたくなるような絵でした。 目玉はなんといってもこの絵でしょう。 「無原罪のお宿り」(1607-13年)。 トレドにあるサン・ビセンテ聖堂のために描かれた縦3.5mもある祭壇画です。 よくこんな大きな絵を持って来れたなぁと思います。 天井の高さの関係で、展覧会では本来の位置よりも高い場所から見上げることになります。 なので、この絵の前ではみんなしゃがんで見上げてました。 そうすると、画家が意図したマリアが上へと昇るような構図がより実感できます。 無原罪のお宿りが主題ですが、被昇天も重ね合わされているようです。 薄暗い教会で、この巨大で、鮮やかな色彩で溢れた絵を見たら、何か神々しいものを感じたことでしょう。 描かれているマリア様は、神の恩寵を受けた存在として輝いて見えただろうと思います。 最後に飾られたこの絵にガツンとやられ、目的の苦手意識改善は多少果たされました。 やっぱり本物を見ないとダメですね。 画集の色とは全然違います。特にエル・グレコはそう感じました。
by ruki_fevrier
| 2013-04-21 17:58
| 美
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Comments(2)
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masoraly at 2013-04-24 21:04
rukiさん、こんばんは。お久しぶりです。
私も、エル・グレコってどこがいいのか、なぜこんなに評価されてるのか さっぱりわからない人でした。そうそう苦手意識。 でも、大人になってから、観る目が変わりました。 去年のスペインでは、プラド美術館にもトレドにも行ったので、随分この方の作品を 観てきました。トレドなんて、あっちもこっちもエル・グレコばかりでした。 強烈な個性ですよね。それが、トレドの街に、受け入れられたのですよね。 音楽的でダンス的な作品たち、今の時代に合いそうですよね。
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ruki_fevrier at 2013-04-24 23:32
masoralyさん
こんばんは!ご無沙汰しております~ 最近、全然コメントできず、すみません・・・ エル・グレコ、超苦手でした。ルーベンスよりも、レンブラントよりも、もっとずっと。 年取ってちゃんと見るとモダンな絵なんですよね。 セザンヌやピカソに通じる流れであるのも納得です。 それを、16世紀当時、トレドの街が受け入れたことがすごいですよね。 懐の深い街だったのでしょうね。 トレド、いつか行ってみたい~けど行けるかな・・・
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